疑惑の狛犬 第1回

                   三 遊 亭 円 丈

神社は、所有する狛犬を少しでも古く言いたがり、
                             狛犬研究家はそれを疑う。


しかし、困ったことに狛犬の彫られた年代を測定する方法はない。仮に紀元前五千年の狛犬と言われても完全に否定することはできない。ここでは、そんな疑惑に満ちた狛犬を取り上げた。

 

自称!日本最古の狛犬--弘仁年間(811〜824)

       賀茂神社....飛騨高山市上江名子

k-giw-kou.jpg (15036 バイト)        (写真提供)大須赤門氏  すんごい古い。古過ぎる!!なんせ、江戸以前の石造狛犬なんて全国で2〜30対程度しかない。しかも大半は1500年代。第一関東最古の参道狛犬が、日光東照宮の寛永13年(1636)。そして確認されてる日本最古の石造狛犬が、奈良南大門の建久7年(1196)ところがこれは更に300年も古い。

スンゴイ大きなフロシキじゃないの?もちろん「弘仁年間...と伝えられてる」と言う伝聞だけど。どうしたって眉にツバをつけたくなる。江戸以前の可能性ならあると思うけどね。ここまでフロシキが大きいと実は私円丈は、ブッダの生まれ変わりですと言いたくなる。もちろん江戸以前ならありうると思うけど。

 

 

和尚が彫った?カッパ狛犬疑惑
          常堅寺...伊岩手県遠野市土淵

k-giw-ka.jpg (16839 バイト)カッパと言えば遠野のカッパが有名だが、これのなにが疑惑か?伝聞では
「江戸時代、火事を消してくれたカッパに感謝してその時の
和尚が、このカッパを彫った」と言うことだ。木彫りのカッパなら納得するけど石のカッパだよ!しかも固そう石。これを和尚が彫ったあ?ほんとう〜〜っ!なんかウソ臭いなあ。

今まで四千社の狛犬を見て歩き、色んな狛犬情報も集めてるけど。宮司や、住職の彫った石の狛犬なんて聞いたことがないよ。しかもこのカッパ狛犬の仕上がり具合は、どう見たってプロの石工の仕事だね。キチンとしている。お経しか上げたことのない坊主が、突然ノミを持って出来る仕事ではない。

しかし1ヶ所がだけ下手な仕事がある。それは、頭の上の大きな穴(これがカッパの皿)。これが、ギザギザだらけの穴ボコ!到底プロの仕事とは思えない。つまり石工が狛犬をほり、和尚がへたくそな穴を開けた。それが、後の世に大袈裟に伝わり。和尚が、狛犬を彫ったになったんじゃあないかね。もし本当に和尚がこのカッパを彫ったのなら。石工が、坊主になった!これしかない。

 

来待石狛犬疑惑
 八重垣神社 島根県松江市伏草町
 1100年代狛犬?

    k-giw-yae.jpg (18693 バイト)   k-giw-b.jpg (20172 バイト)
     八重垣神社疑惑の狛犬   明治11年建立でコンナニボロボロ

     

この狛犬も神社側では、1100年代の狛犬と言う説明。狛犬研究家の間であまり、それをストレ−トに信じる者はいない。ただもしかしてと思わせる雰囲気はある。

最大の疑問は、この狛犬が、来待石(きまちいし)と言う物凄く崩れ易い砂岩で彫られてることが、チョッと写真Bを見ていただきたい。明治11年の同じ石で彫られた出雲かまえ獅子。もうボロボロ。百年でご覧の通り、それが、800年もこんな状態で持つのか?と言うことだね。う〜〜〜ん無理っぽい。仮に百歩譲ってもし1100年代に狛犬が彫られたとしても。その後、二度ほど新しく彫りなおしてると思うね。...しかし可能性は、ゼロではない。


てなことで今回はこの辺で!!第2回は公開せまる。待たれよ。

 

 背景には、カマスの干物目玉ネガポジ反転.jpg使用

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