でた〜
!完全狛犬分類カタログ
狛犬カタログ関東江戸編

 以前「円丈のなんじゃこりゃ」には狛犬分類があった。
今回は、さらにバ−ジョン.アップした完全版カタログだ.
.....と言うことにしておこう。

              三 遊 亭 円 丈

  

【分類メニュ−】

□地方タイプ ....各地方独特の狛犬
□関東江戸編...・江戸 ・江戸はじめ・獅子山 など
□関東東北編...・秋田狛犬・仙台狛犬 ・準江戸など 


□江戸バリエ−ションとは?・江戸両小獅子・江戸玉獅子  
              どれを?

 


全国共通だよ〜〜ん!

狛犬カタログ関東江戸編

 お待たせの第二弾!分類も少し遅れていたが、やっと関東編となった。関東の狛犬を総称して「江戸タイプ」と言う。この「江戸」は時代とともにダイナミックに変化し、そして進化し続けた狛犬だ。全国の地方タイプの中でもっとも種類も奥も深い狛犬だ。  
  三 遊 亭 円 丈






江戸はじめ 1600年後半〜1700年前半)
元々本殿などにいた木彫り狛犬が、関東では1600年代になり、石造の狛犬となり、最初に参道に出現した狛犬。
まだ狛犬の様式が進む前の段階として江戸は じめがまず登場する。体は一様でなくやや小型で素朴な中に味わいある。一般的に彫りも浅く素朴でやや小型。首は曲げずに正面を向き、頭には角が付いてるが、はめ込み式なので、今も角のある江戸はじめは残念ながら残っていない。銘は台石ではなく、足座や胸や背に刻まれているものが多い。数は少なく貴重な狛犬である。

 
写真は阿吽ともに江戸狛犬の故郷、神奈川の真鶴。(ここで採れる小松石で狛犬が彫られる)その隣町の湯河原町にあった江戸はじめ。 40cm足らずの小さなものだが、寛文10年(1670)だ。23区なら古さで5位以内に入ってしまう貴重な狛犬だ。
【素鵞神社】神奈川県湯河原町吉浜 寛文10年(1670)

 



江戸中(1730年〜1800年)
江戸はじめに続く狛犬で尾がウチワ状に立ち。真っ直ぐ正面を向くか、やや首を曲げ気味にし、やや太っていて飾り物(子獅子、玉)はなくまれに玉を持っている場合がある。

               
写真の狛犬は江戸中としてはかなり後期になるが、よく江戸中の特徴だ出てる。 阿吽とも:
【氷川神社】 練馬区氷川台4-47- 天明7年(1787)

江戸尾立ち(1780〜)
江戸中より、細部が細かく彫られ、装飾的に凝ってきて、首も曲がりも大きくなる。それを江戸尾立ちと言う。しかし江戸中でも首の曲がったのもいるのでその線引きが難しい。大体寛政時代あたりからの尾の立った狛犬を江戸尾立ちと呼ぶようにしている。

           
しかしこの写真の狛犬は中々雰囲気のある江戸尾立ちだ。
阿吽--【菅原神社】 都下町田市南大谷226- 文化14年(1817)石工神奈川磯右衛門


江戸(1800年代初め〜現在)
通常「江戸」と言うのはは、写真のように尾が下がり、顔を曲げたタイプを江戸と言う。江戸タイプは、江戸はじめから江戸中、江戸尾立ちを経て「江戸」に進化した。尾が下がり、タテガミや尾が流れるように美しい独自の狛犬文化を持つに至った。更にこれに色んな飾り物(玉、子獅子)が付き、多彩な変化を持つようになり、それらを判り易くするためにバリエ−ションを付けて表現します。

           
この写真のように玉や子獅子を持ってない素の江戸を「素江戸」とも言う。しかし玉や子獅子の狛犬をみつけてくるとやや淋しい感じがする。 阿吽とも:
【豊田神社】
江戸川区東瑞江2-13- 文久3年(1863)


初江戸足座なし(1830年代〜1900年)
普通狛犬は、足座と一緒に彫られるものだが、このタイプは、その足座がない。たまに見かけることがある。しかし大正時代に入ってからは見ていない。また北前船で全国に送られた出雲尾立ちも足座がない。これは、船で運ぶ易いためのように思われ

                     
写真の狛犬は建立年度が分からないが、文政以降あたりのものと思われる。なかなかの出来だ。 阿吽とも:
【代田八幡神社】
:世田谷区代田4-9- 銘なし


江戸犬(1700年代前半〜)
主に成田不動系の寺院にで見かける。獅子ではなく完全な犬タイプ。これは関東以外では全く見かけないので敢えて「江戸」と付け、江戸犬とした。

          
写真の江戸犬は最古の犬!どことなく威厳が漂う。この中にははいれないので注意が必要。私がどうして入ったか?それはねえ.....。 阿吽とも:
【成田不動 妙見堂前】 千葉県成田市成田 
正徳元年(1711)

獅子山(1800年初頭〜現在)
溶岩で築山を作り、そこに親獅子をおき、下から小獅子が上をうかがう、まさに派手好みの江戸っ子にピッタリの江戸独自の狛犬。このタイプはオスメスに別れている場合が多いので獅子山を見かけたら良く確認して欲しい。これも尾が雲のように流れるものと尾が背についている。尾つきの二種類ある。

    
写真の獅子山は尾が流れている尾流れの方。 阿吽--【隅田川稲荷】 墨田区墨田4-38- 明治43年(1910)建立

 


準江戸(明治〜現在)
江戸唐獅子は関東から福島、宮城辺りまで広がっているが、関 東圏から外れると江戸獅子がくずれ準江戸となり、その多くは、尾が立つ場合が多い。

             
吽--「青葉神社」仙台市青葉区青葉町15 昭和9年(1934) 阿--「中田観音」福島県新鶴村字根岸 昭和4年(1929)

 


先代..これはタイプの分類ではなく1対なかったり、またも参道から隅の方に片付けられ、もうその役を降ろされた狛犬たちを先代と言う。その多くは、写真のようにぼろぼろになったものが多い。ところでこの2頭の狛犬は、実は共にまだ現役なのだ。ともに1対参道に建立されてる。気の毒だ。

          
阿吽とも:神社名デ−タ省略 阿吽とも:神社名デ−タ省略

 


◎江戸ロ−カル編
江戸ロ−カルの中でも更に地域限定タイプ。今回は2書類ほどにした。それは分類のための分類にならないように。

・浦賀尾立(1700年大後半〜1860年代)
浦賀の**神社の狛犬を祖とするこのタイプが、横須賀、三浦あたりで良く見かける。尾の立ったタイプ。

・群馬尾立(1900年代〜)
通常の江戸タイプをベ−スにして作られた。江戸よりコロッとした尾の立った狛犬が、群馬県で良く見られる。これを群馬尾立と言い、群馬特産のくぬぎ石で彫られる場合が多い。


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(注)背景は、ジカドリもらった狛犬jpg使用